今週の東洋経済の116ページの、戦争のアウトソーシングについて書かれた論功がなかなか興味深い。
要旨を抜粋すると、こんな感じ。
・知られざる戦争 戦場まで”民営化”
1. 戦闘以外のあらゆる戦争業務、戦争のソフトと人的サービスを提供するPMC(Private Military Company)産業が急成長している。「ビジネスウィーク」誌によれば、イラクでは、米軍の業務の2~3割がPMCに移管されている。イラクに展開するPMCだけで40社、1万5000人。全世界のPMCの売り上げは1000億ドル、11兆円。2. イラク戦争では史上初めて、大量のPC、ルータ、サーバーが戦場に持ち込まれた。戦争の情報化が進むに伴い、IT企業とPMCの合体が急速に進行している。IT企業が”戦争サービス”まで包含する、複合化した新しい産軍共同体の誕生。
3. 米国内でPMC=産軍複合体の見直し気運が高まったとして、PMCの仕事は誰にゆだねるのか。兵士の「需要」は一行に低下しない。ぴったりの代役といえば、思い当たるのは日本の自衛隊である。
会社から帰宅する少し混雑した電車に揺られながらこの記事を読み終えて、腹にどす黒いものがたまったような気持ちになった。他国への侵略が合理性を持ってしまっているこの経済の仕組みを考えると、いつもとっても嫌な気持ちになる。
この気分の悪さの根元にあるのは何かと考えてみたが、倫理観とか社会的道徳観とか、そういうものもそうなんだけれど、それ以上に「面白いゲームを裏技使って反則勝ちされた」ように考えている自分に気づいた。商売、ビジネスは本来的に人間にとって面白いものだし、個人の自己実現や自己超越の手段になりうるし、べらぼうな金儲けはべらぼうな社会貢献になりうるし、今の日本がある理由の一つは高度経済成長期の日本の大企業の躍進の結果と思っている。
そういう純粋無垢な自分にとって、こういう国家的であからさまなお手盛りをわかりやすく汚い形でやられると、将来の日本を考えても考えなくても暗澹たる気分になる。この嫌な気分から逃げようと、自分とは関係のない世界の話だと断じようにも、今の世界は情報的に狭くなりすぎているし、無関係だと思いこむことはできるかもしれないけど、先進国で社会的生活を営む限り、本質的に無関係でいられるわけがない。フラストレーション。
企業と企業の熾烈な競争は、スポーツのそれと同じように、ダイナミズムにあふれていて極めて美しい事象の一つだと思っているし、そう信じたい。ファルージャで殺されて焼かれて橋の上から吊された「米国人市民4人」は、大手PMCのBlack Water社の「社員」だったそうだ。つまり、ある意味、彼らは「出張中」だったわけだ。でも、彼らを出張中であったと考えるのはすごく恐ろしいことだと思うし、そういうところで働いている人は、ビジネスマンやサラリーマンじゃない。特定の人の甚大な不幸の上に利益を積み上げようとする、こんなに美しくないビジネスは、ビジネスじゃないと思う。
と、いうようなことを考えている人はアメリカにもごまんといるはずで、メディアが動けばPMCバッシングは簡単に起こるし、局所的には起こっているだと思う。ただ、結局甘い汁を吸い続ける超ハイパー悪代官級の投資家や政治家の存在が永続的なこの経済と社会の仕組みを考えると、やっぱりまた暗澹たる気分。ううむ。
Posted by na at July 26, 2004 10:56 PM